ブレストって実際、どうなんすかね?

俺はあまり、生産的なブレストって経験した事ないですよ。

出席者それぞれが何を考えているのか、を知るのには役には立つけど、それにほとんどの時間を取られるようなMTGには出たくない。

例えば、ストーリーアイディアを固めるMTGで、思いつきで「海を撮りたい」とか、「路面電車で何かあったら面白い画が撮れる」とか、その手の提案がパラパラと出てくる事がある。

俺はそれら提案をアイディアとは認めない。

ストーリーにおいて、アイディアとは、「対立軸の発見」だ。

その対立軸の建て方が斬新であれば文字通り、物語は新機軸となる。


MTGと言えば、会話の中でやたらと「新しい」、「古い」が口にされている時、その手の発言には「よりよい仕事をしよう」という純粋な意志ではなく、相手/作品をくさす意図を感じる。

それが自分に向けられたものではなくてもね。

そもそも「新しい」、「古い」って俺はあまり、問題じゃないと思っている。

ブライアン・イーノがさ、
 

 私の考えでは、もはや音楽に歴史というものはないと思う。つまり、すべてが現在に属している。これはデジタル化がもたらした結果のひとつで、すべての人がすべてを所有できるようになった。レコードのコレクションを蓄えたり、大事に保管しなくてもよくなった。私の娘たちはそれぞれ 50,000枚のアルバムを持っている。ドゥーワップから始まった全てのポップミュージック期のアルバムだ。それでも、彼女たちは何が現在のもので何が昔のものなのかよく知らないんだ。


と言っているんだけど、俺が問題じゃないって思うのは、まぁ、このインタビューが俺にとって印象深いものだったから、だろう。

Souce: http://www.timeout.jp/ja/tokyo/feature/138
 
 
一昔前、「付加価値」なんていう言葉を広告関係の仕事の席でよく聞いた。

価値とは何かと問われれば、俺は差異と答える。

つまり価値はギャップから生まれる。

AくんとBさんは違う人物だから当然、お互いに一方にはあって一方にはないものがある。

その違いを強調して利用したものが価値と呼ばれるもので、そういうやり方に意識的になる事、が付加価値なんじゃないか、と思っていた。

優劣を競う比較ではなく、個性のユニークさを発見する比較って、悪くないよ。

脚の速い子がスポーツ選手になって、絵が得意な子が漫画家になる、みたいなさ、そんな感じだから。


ところでギャップとか「新しい」/「古い」と言えば、

「女優のスカートの丈に時代を感じるのは悪くない」

という、デイヴィッド・リンチの言葉を思い出す。

なんと言うか、想像力を刺激する言葉、なんだ。

言葉にしなくても、画面の隅で印象的に動くヴィヴィッドなスカートの丈で違った時代の違った価値観を演出出来るんじゃないか、とかさ。

だから、会話の中でやたらと「新しい」、「古い」が口にされている時、うまくこれを利用出来ないかな、なんて俺は思うんだよね。


「新しい」、「古い」が気になっている発言をしている人は、まぁ、クリエイティブとは言えないね。

悪い意味で消費者になっている。

消費者の立場を重視しているのではなく、与えられるのを待っているだけ、与えられたものに良いとか悪いとか、そんな次元の発言しか出来ない。

まぁ、そんな事言っていても、映画館で掛かる予告編のほとんどに「今更、誰がこんな映画観るんだよ」とか思ったりしている自分ではあるのですが、まぁ、俺には俺なりの根拠があって、その根拠についてはまた次回にでも。